『見仏記』仏さまはかっこいい、新薬師寺十二神将
田舎の中学生だった為、
修学旅行は東京、そして夢の国でした。
私たちの上の代までは。
まぁまぁ評判の悪い学校として知られた我が校、
先輩たちが問題を起こしてくれた為、
出入り禁止になってしまったそうで。
けれど、今の都より古の都に興味があった私は、
京都・奈良への変更を密かに喜んでいました。
ただ、奈良の大仏をみて印象に残ったのは、
ガイドさんが綺麗過ぎて男子が大騒ぎしていたなというだけ。
「なんだか良くわからないけれど、
有難がらなければならないらしい仏像」に対し、
当時は何の関心も持てなかったのです。
数年後、TVで仏像について、
熱く語るMJこと、みうらじゅんを目にしました。
「自分にとって仏像は、かっこいいもの。
変身ヒーローと一緒の感覚」
目が点になりました、そんな見方ありなんだ。
この本は、仏像が好きな、❝仏友❞の2人が、
各地の仏像を❝見仏❞して歩いた旅行記です。
みうらじゅんは子供の頃から、
周囲がヒーローのソフビ人形を買う感覚で、
お寺の土産物の仏像を集めたり、
自分で解説をつけた仏像スクラップを作ったりしていたそうです。
一見不謹慎にも思えるこの人たちの仏像鑑賞ですが、
決してそうではなく、
むしろ心底からの仏像愛が伝わってくる作品です。
本を読んでから、仏像を「参拝」ではなく、
美術品と同じように、
好きに見ればいいんだという姿勢で「鑑賞」するようになると、
俄然楽しくなり、今では趣味の一つとなりました。
ちなみに私が一番おすすめしたい仏像は、
それぞれの干支を司る荒々しい天平期の十二体の像たちは、
背を向けて壁にくっついてはおらず、
ガラスケースに収められもしていません。
彼らは本尊の薬師如来を守る使命を果たすべく、
輪になってぐるり取り囲むように立っています。
あの配置の仕方、尋常ではないかっこ良さです。
勝手なイメージで、アテナ沙織を守る聖闘士たちみたいです。
本のように走りはしませんが、
周囲を回り「メリーゴーランド状態」をしてみたり、
用意されている椅子に腰かけて眺めたり、
反対側から背後をみたりと多種多様な楽しみ方が出来ます。
奈良を訪れる際は必ず足を運び、何時間も飽きずに眺めています。