ゆる~くこだわれ~yuruyurara’s blog~

興味あれこれ、基本どんより。ゆる~いこだわり雑記です

幼稚園児の悲しいバレンタイン

子供の頃、寒い冬の朝、テレビの横に見慣れない紙袋が。

母に尋ねると、お父さんのだから聞いてみたらと。

出勤間際の父に承諾を得て、開けてみると、

色んな形のチョコレートが入っていました。

今週のお題「わたしとバレンタインデー」

園児が知ったバレンタイン

慌ただしく会社へ行ってしまった父を横目に、

再び母に聞いてみたところ、

前日2月14日はバレンタインデーと言い、

女の人が男の人にチョコレートをあげる日

なのだという答え。

あれは父が会社の人から貰ってきたチョコだったそうです。

・かわいい動物の形

・綺麗な花柄の紙に一つずつ包まれた小さい四角

・色付きアルミホイルに包まれたお酒の瓶の形

・さつまいもの形

確かその4つでした。

近所のスーパーなどでは目にした事の無い、

なんとも素敵な変わった物ばかりです。

お母さんはあげないの?」

あげない。」

私はあげようかな?」

その時、なぜだかわかりませんが、

家の誰かも父にあげた方がいい気がしたんですよね。

1日遅れのバレンタイン

母のしぶるバレンタイン

会社の人みたいな、かわいいのをあげたいところですが、

幼稚園児なのでお金がありません

バレンタインに興味のない母も、

お金を出す事に難色を示しました。

母がみつけた解決策

家にあるものでやればいいでしょ

興味の無い母の解決策

結局母に従い、台所に置いてある、

お菓子入れの大きなタッパーを開けると、

チョコレートがあるにはありました。

お徳用アルファベットチョコが。

一つ一つ透明なセロファンに包まれ、

上面の正方形部分にアルファベットが型押ししてある

定番のあれです。

母はお菓子作りをしない人でしたから、

それを使って何か作ろう、

なぁんて提案がされる事はなく、

ここに包装紙沢山あるから、好きなの選んだら?」

ラッピングに四苦八苦

お中元なんかの頂き物をした際、

包装紙リボンは取っておく家でしたので、

そこからなるべく綺麗な花柄の紙を選びました。

しかし、チョコレートを数個包むのは、

思いの外難しい物でした。

最初ちゃんと並べても、

ひっくり返すとバラバラになるし、

なんだかでこぼこにもなる。

何度も繰り返す内、紙が破れてしまいました。

見かねた母が、チョコを、

袋に入れてまとめて包むようアドバイスをくれ、

ようやく完成したそれは、

失敗が重なり、色んな折り目が付き、

破れたところをセロテープで補修してありました。

そこにかけたリボンも、

ちょうちょ結びがうまく出来ず、縦結びに。

チョコレートを父に

子供なりに苦心したのですが、

ひどくみすぼらしいプレゼントでした。

ただ、仕上がりはさておき、

苦労した分、妙な達成感がありました。

父は帰りが遅い為母に渡してくれるよう頼み

ドキドキしながら布団に入りました。

翌朝、台所のテーブルの上に、

私のみすぼらしいチョコがありました、

昨日ラッピングした、手つかずのまま

それを見て、涙が溢れました。

やっぱりちゃんとしたチョコじゃないからだよ!」

母に八つ当たりもしました。

まぁ、母から中身とか聞いていたでしょうし、

仕方なかったんでしょうけれど、

あれは本当に悲しかったですね。

翌年のリベンジ

母のすすめるバレンタイン

前の年の事があったからか、

翌年はバレンタイン前に母から、

お父さんにチョコをあげたら?」

500円がもたらされました。

正直気が進みませんでした。

幼児は結構傷ついていたんです。

それでもお金も貰った事だし、

お店のちゃんとしたチョコだったら

喜んでくれるに違いない。

雪の中、近くの小さいスーパーへ出掛けました。

素敵な箱のチョコレート

チョコレート売り場には幾つかの商品があり、

その中の一つに目が留まりました。

中身は板チョコのガーナとクランキーでしたが、

パッケージがワイシャツの形です。

父はいつもスーツを着ていましたので、

これはお父さんぽいぞと。

雪道を帰る足取りは軽やかなもので、

家に帰るなり、

すごいいいの見つかったよ

と得意げに母に報告しました。

再びチョコレートを父に

バレンタインまで日があったので、

食器棚のあまり使わないお皿の後ろに隠しておきました。

当日、帰宅した父を驚かせるため、

わざわざ玄関に、チョコを置いておきました。

今度こそ喜んでくれるだろう

あのワイシャツ型の箱の事も、なんて言うかな。

翌朝、開封した形跡がありました。

「お父さん喜んでた?」

「喜んでたんじゃない」

チョコは食べていいと言っていたとの事ですが、

お父さんにあげた物だから❞と、

私は頑なに手を付けませんでした。

会社の方からのチョコはどんどん無くなりましたが、

私のあげたチョコは、

同じ場所にそのまま数日置かれていました。

お父さん、全然食べてくれない、

結局私のチョコは要らないんだ、

その内、毎日目にするのが嫌になっていきました。

あれ程いい物を見つけたとご満悦だった、

ワイシャツ型の箱も、

なんだか悲しくなるので、破いて捨ててしまいました。

もうお父さんにチョコはあげないから

幼稚園児が初めて知ったバレンタインは、

2年続けて苦い思い出となりました。